任意整理をすると住宅ローンへの影響があるのか?

任意整理をすると住宅ローンへの影響があるのか?

多額の借金を抱えてしまって、やむを得ず任意整理を行う場合があります。 任意整理を行うと様々な影響が出てくると考えられますが、住宅ローンについてはどうでしょうか。 返済中の住宅ローンはどうなってしまうのか、任意整理後に住宅ローンを組みたい場合はどのようにしたら良いのか、などと様々な疑問が出てきます。 ここでは住宅ローンの基本的知識と任意整理後の住宅ローンへの影響について詳しく解説します。 後悔しないためにも、手続きを進める前に知識を身につけておくことが大切です。

住宅ローンの基本的な知識

住宅ローンの種類

住宅ローンとは住宅の取得・建築などを目的に、土地と建物を担保にして賃金業者からお金を借りる方法です。 住宅ローンには大きく分けて公的融資・民間融資・フラット35の3種類があります。公的融資は地方自治体が行っている自治体融資と、勤労者を対象とした財形融資の2種類です。 利用率が高いのは財形融資で、勤務先での1年間の貯蓄・50万円以上の貯蓄など一定の条件が設けられています。 勤めている会社が金利の一部を負担するなどのメリットがあります。 民間融資は銀行などを利用してローンを組む方法です。 銀行によって金利が異なり、自分に合った銀行や条件を探すことが重要となります。 35年間の長期間による固定金利を売りにしているのは、フラット35です。 公的融資と民間融資の間と考えれば分かりやすいでしょう。

住宅ローンの審査ポイント

住宅ローン審査は2段階に分かれています。 事前審査では申込用紙に勤務先や年収を記入し、判断を仰ぎます。 ここでポイントとなるのは返済負担率です。 現在の年収の内、住宅ローン返済に充てることができる割合を調べられます。 つまり、返済能力が高いほど審査に通りやすいということです。 事前審査を通過すれば本審査となります。 融資可能であるかが決まる最終審査ですが、事前審査を通過すれば本審査に通る可能性も高いと言えます。 両方の審査で重要視されるのは個人信用情報です。 ブラックリストに登録されていないか、延滞・破産などの金融事故を起こしていないかがポイントとなります。 審査に通るか不安、審査になかなか通らない時は個人信用情報機関に問い合わせて情報開示を行うと良いでしょう。

任意整理をしたら住宅ローンを組むことができない

任意整理をするとブラックリストに載ってしまう

金融機関は対象の人が社会的に信用できるか判断するために、個人信用情報と呼ばれるものを利用しています。 個人信用情報は氏名や住所、収入、勤め先、借金の有無などの情報が記載されているものです。 借金返済が滞ってしまったり債務整理をしてしまったりすると、この個人信用情報に事故情報としてマイナスの情報が記載されます。 この登録される状態をブラックリストに載るといいます。

個人信用情報機関とは

個人信用情報は個人信用情報機関が管理しています。 個人信用情報機関とは、信用情報を集めたり加盟している金融機関に情報を知らせたりしている機関です。 日本にはCIC・JICC・KSC と呼ばれる3種類の個人信用情報機関があります。 CICではクレジットカード関係の情報を管理しており、クレジットカード会社の出資によって設立された機関です。 KSCは銀行系カードローンの事故情報を管理しており、クレジットカード・ローンに関する情報を記録しています。 加盟しているのは、銀行・信用保証協会・政府関係の金融機関・銀行から認められた信販会社です。 JICCは消費者金融系の事故情報を管理しており、クレジットカード・ローンに関する情報を記録しています。

ブラックリスト載ってしまうと住宅ローンを組むことができない

「支払いが困難で任意整理を行なう」・「支払いが滞る」などがあれば一定期間ブラックリストに登録されるため、この期間が過ぎるまでは新たに住宅ローンを組むことができません。 住宅ローンの審査には、個人信用情報機関で保管されている個人信用情報が使われているからです。 任意整理をした事故情報があることは、返済能力がないことを示しています。 お金を貸す側からすれば、返済能力がない人にお金を貸すのはリスクが高いことです。 そのためブラックリストに登録されていると、審査に通らず住宅ローンを組むことができません。 金融機関にとって住宅ローンなどを利用する人の個人信用情報は、とても重要な判断材料となっていることを理解しましょう。

また、任意整理をして借金を完済すれば、完済した日から約5年後には任意整理をしてブラックリストに載った情報が削除されます。ブラックリストの登録が削除されると、住宅ローンを組むことができるのでブラックリストとは何かを正しく理解する必要があります。

任意整理をしても家族には影響ない

支払いが困難などの理由で、いざ任意整理をする決意をしても「任意整理をして、家族に迷惑がかかったら」と考えてしまう人も中にはいることでしょう。 任意整理をすると情報がブラックリストに登録されることになりますが、登録対象はあくまでも本人の情報のみですので、 他の家族が住宅ローンなどを申し込んでも、基本的には問題ありません。 ただし、家族が連帯保証人になっている場合は事情が異なります。 任意整理をすると連帯保証人に請求が行ってしまいます。 もし連帯保証人である家族が借金の支払いができない場合は、債務整理巣をすることになり、ブラックリストに登録されてしまいます。 ですので、家族が連帯保証人になっている場合は注意してください。

任意整理をした時の返済中の住宅ローンへの影響について

任意整理のメリットは対象を選べること

任意整理は裁判所を通さずに、債権者との話し合いによって借金減額を行う手続きです。 他の債務整理は裁判所が関わるので、債権者が多数いた場合は全てを平等に扱う必要があります。 ですが、任意整理の場合は債権者を選んで交渉することが可能です。 住宅ローンを契約している人であれば、住宅ローンを除いて他の債権者だけを整理することができます。 そのため、住宅を手放さなさずに債務整理を行うなうことができます。

住宅ローンと同じ銀行のカードローンを任意整理しても大丈夫

住宅ローンを利用している人が同じ銀行のカードローンを任意整理する場合、特に大きな問題はありません。 ただし、その銀行で開設している口座が1~3ヶ月間は凍結されるのが一般的です。 これは銀行の保証会社が代位弁済をするまでの期間で、日数は会社ごとに異なります。 その間住宅ローンの引き落としもできなくなるので、窓口で支払う必要があります。 さらに他の引き落としや振込みなどがある場合は、他の銀行に開設した口座を利用することになります。

ただし、住宅ローンを任意整理すると抵当権が実行される

住宅ローンを契約するときに付いてくる抵当権は、返済ができなくなったときに銀行に土地と住宅を差し出さなければいけないという内容です。 したがって、住宅ローンを任意整理すると土地と住宅を手放すことになります。 返済が困難な場合は、任意整理ではなくリスケの相談をしてみるか、個人再生の住宅ローン特則制度を利用するかという方法を検討してみましょう。 住宅ローン特則も支払い期間を延長してくれる制度で、個人再生期間中月々の弁済額を減らす元本猶予型と弁済期間を延長する期限延長型があります。 また、この制度でも返済が難しければ自己破産を考えることになります。

任意整理した後の住宅ローンを組むことができるる期間

任意整理から17年間は住宅ローンを組むことが出来ない

任意整理を行うと、事故情報が原則5年間は個人信用情報機関に登録(ブラックリスト登録)されてしまいます。 金融機関は借り入れやローンの審査の際に、個人信用情報機関に記録されている個人信用情報を照会します。 当然、事故情報が登録されていることもわかりますので、審査の際に返済能力がないと判断され、任意整理後5年程度は住宅ローンを組むことができなくなります。 また、この5年間というのはあくまで目安であり、金融機関によって審査は異なるので、正確にローンが組めるようになる時期というのは一概には言えません。

ブラックリストから情報が消えていれば住宅ローンを組むことができる

任意整理をしたからといって、一生住宅ローンが組めなくなるわけではありません。 ブラックリストに登録されている期間は、どうしても住宅ローンを組むことが難しくなりますが、個人信用情報機関から事故情報の登録が消えれば、再び住宅ローンを組むことができるようになります。 それまでの間は、貯金をして5年後に備えたり、安定した収入の得られる職業に就いて信用を築くなどして、辛抱強く待つしかありません。 また、任意整理後の返済が滞るとブラックリストの登録期間が延びてしまう可能性があるので、この期間はきちんと返済を済ませることに集中することが大切です。 早期に借金を完済したとしても、残念ながら5年間はブラックリストの登録が消えることはありません。

自分の個人信用情報を確認する

個人信用情報を取り寄せることで、自分で確認することができます。 住宅ローンやクレジットカードの審査に落ちた記録が残ってしまうと、その後に行う金融機関での審査に響く可能性があるので、必ず各種審査を受ける前に状況を確認することが大切です。 個人信用情報機関には銀行系のKSC、消費者金融系のJICC、クレジットカード系のCICの3種類がありますが、念のためすべての機関に開示請求を行っておくと安心です。 各機関により多少手続きは異なりますが、すべての機関が郵送での開示請求に対応しています。 他にもJICCではスマートフォンのアプリや窓口での開示請求が、CICではWEBや窓口での開示請求が可能です。

任意整理後に住宅ローンを組む場合のポイント

家族名義で住宅ローンを組む

任意整理後は信用情報機関にブラックリスト登録されてしまい、住宅ローンを組むことはできません。 ですが、家族名義でならローンを組むことができます。 ブラックリストはあくまで本人だけの問題であり、家族は関係ありません。 しかし、任意整理をした人は連帯保証人になる場合は注意が必要です。 連帯保証人になる人は本人同様の審査が入ります。 そのため過去の借り入れなどが発覚してしまうと、審査に悪影響を及ぼすことになり住宅ローンが組めなくなることがあります。

利息が高い住宅ローンに申し込む

任意整理後に住宅ローンを組もうとしてもハードルが高くなってしまうもので、審査がなかなか通らないというのが現状です。 少しでも通りやすくするために、利息が高めの住宅ローンに申請する方法があります。 利息が高い住宅ローンは低い住宅ローンに比べて、審査の基準が緩い傾向があります。 そのため任意整理後で返済実績がない状態でも、比較的と通りやすくなります。 ただし、自分が払いきれなくなるような利息であるかどうかはしっかりと見極めましょう。 ローンを組んでまた支払いをすることができなくなってしまったら、再び債務整理をしなければいけなくなる可能性もあります。 負の連鎖が起こってしまわないように、必ず自分の収入と照らし合わせ計画的にローンを組むようにしてください。

任意整理していない金融機関の住宅ローンに申し込む

基本的にブラックリストから削除されれば、住宅ローンを組むことはできます。 しかし、任意整理をした金融機関に住宅ローンを申し込んだ場合は、その限りではありません。 というのも、任意整理をした金融機関は社内ブラックと呼ばれる独自のリストを作成しており、任意整理をした情報を残しています。 当然ながら、一度任意整理をした会社からの印象はあまり良いものではありません。 そのため基本的には任意整理をした金融機関からは、住宅ローンや新規の借入はできません。 また社内ブラックのリストは関連会社にも共有されることがあります。 ですので、任意整理をした金融機関の関連会社であるかどうか確認して、申し込むことが大切です。

収入合算やペアローンに申し込む

住宅ローンをする際の限度額というのは収入によって変わる仕組みになっています。 また任意整理後だと返済実績がないので、余計審査がシビアになり、借入希望額に届かないということもあります。 そんな時に有効な方法が収入合算です。 収入合算は自分と配偶者、家族などの収入を合算して契約をするローン方法です。 また、ペアローンという手段もあります。 ペアローンは配偶者や家族と組んで住宅ローンを申し込み、ひとつの物件を一緒に契約をする方法です。 どちらもひとりの収入ではローン返済が難しい場合に行う契約方法です。 収入を合わせて住宅ローンを組むことができるので、ひとりの時より審査が通りやすくなります。

まとめ

任意整理をすると住宅ローンが組めなくなりますが、一定期間過ぎればまたローンを組む事ができるようになります。 任意整理後に住宅ローンを組む際は、ちょっとしたコツを知っておく事が大切です。 家族名義で住宅ローンを組んだり、利息が高い住宅ローンに申し込んだりと、いくつか方法があります。 ですので、今回紹介したことを参考に実践してみてください。

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